こうした無理な生態のゆえか、トガリネズミの寿命は約15カ月と非常に短くなっています。

では、このコビトジャコウネズミが「史上最小の哺乳類」かというと、そうではありません。

過去の地球にはこれよりもっと小さな哺乳類がいました。

それが始新世(約5600万〜3390万年前)に存在した「バトドノイデス・ヴァンホウテニ(Batodonoides vanhouteni)」というトガリネズミです。

こちらの写真は現生するコビトジャコウネズミとサイズ比較したもので、左がB. ヴァンホウテニの復元イメージとなります。

B. ヴァンホウテニの化石は1998年に米ワイオミング州とカリフォルニア州の地層から初めて発見されました。

見つかったのは歯の化石でしたが、その大きさはなんと1ミリ未満しかなく、全体の正確な大きさは推定できていないものの、体重はわずか1.3グラム程だったと見られています。

これは1円玉(1グラム)とほとんど変わらない軽さです。

化石発見に関わった研究者たちも「B. ヴァンホウテニはこれまで知られている中で、最も小さな陸生哺乳類とみて間違いないだろう」と述べています。

本種がどんな生態をしていたかは不明瞭ですが、おそらくコビトジャコウネズミと同じように「早く生きて早く死ぬ」をモットーにしていたでしょう。

しかし最小がわかると今度は最大が気になるのが人間の性というもの。

ただ哺乳類を全部ひっくるめて最大というとシロナガスクジラで決まりですが、ここでは地上に存在した「最大の陸生哺乳類」という括りで見ていきましょう。

史上最大の「陸生哺乳類」とは誰なのか?