「まだ本気出してないだけで、ほんとはやればできる」そんなセリフは、あなた自身が言ったことがあるかもしれませんし、身近な誰かから聞いたことがあるかもしれません。
人生がうまくいかないとき、自分の可能性を信じ続けるために、ついこうした言い訳を口にしたくなるのは自然なことです。本気を出せば、自分は成功できるはず。そんな“保険”を残しておけば、自己否定せずに済むからです。
でも、それは本当に「自分を守る」ための前向きな戦略なのでしょうか?
実はこの「まだ本気を出していないだけ」と言い訳してしまう心理は、心理学においてセルフ・ハンディキャッピングという名前がついています。
そして心理研究では、これが問題の先延ばし傾向を持つ人に多く、またこの傾向が下がると成績が向上することが報告されているのです。
つまりセルフ・ハンディキャッピングは無意識に自分で自分の足を引っ張ってしまう、心のブレーキなのです。
今回そんなセルフ・ハンディキャッピングについて、これまでに報告されている研究を元に解説していきます。
この心理現象の特性を理解できれば、誰もが心の奥に抱えている「心理的ブレーキ」を解除して、真の実力を発揮できるかもしれません。
目次
- 「本気じゃなかった」と言い訳してしまう心理
- 失敗の言い訳にあえて不利な状況を選んでしまう
- 本気を出せれば本当に伸びる「セルフ・ハンディキャッピングをやめる方法」
「本気じゃなかった」と言い訳してしまう心理

やってみたい仕事の募集や、自分の好きな創作活動で作品募集を見つけたとき、やっつけ仕事で応募して不採用だったり、期限に間に合わなくてそもそも応募しなかった。
そんな経験のある人は、意外と多いかもしれません。
そんな風に、私たちは自分が本心からやりたいことに対してであっても、なぜか真剣に取り組むことを避けてしまうことがあります。
そして上手く行かなかったら、「今回は別に本気を出していなかったから…」と考えます。