以上、5章についてCWGは以下のようにまとめている。

気候モデルは、過去数十年を再現する際に、多くの面で温暖化バイアスを示しています。 地表面での温暖化が過大(ECSが最も低いモデルを除く)、下層・中層対流圏での温暖化が過大、および上層での温暖化増幅が過大です。 また、成層圏の冷却が過大、雪の減少が過大、および米国コーンベルトでの温暖化が過大です。 個々の気候モデルにおける半球間のアルベド差は、観測値と比較して符号と大きさが大きく異なります。Wm-2の範囲は二酸化炭素の直接的人為的強制力の3倍以上です。 IPCCはこれらの問題の一部を認めていますが、他の問題については認めていません。

簡単に説明を加えよう。

気候モデルは温暖化しすぎる傾向があり、それはあらゆる指標に現れている。 CO2が原因で地球温暖化する場合には、対流圏の気温上昇と成層圏の気温低下がセットになって観測されなければならず(このことはどの教科書にも書いてある)、気候モデルではそのような計算結果になっている。けれども、観測では、過去20年ほどは成層圏の気温上昇が起きていない。 モデルでは積雪面積が減少しすぎている。 モデルでは地球の南北半球の反射率の差が非現実的に大きい。 IPCCはこれらの問題について、言及していなかったり、言及しているとしてもあまり目立たないように本文中に記述してあるだけで、これらの問題点は要約文書などでは言及されていない。

・米国の気候作業部会報告を読む①:エネルギー長官と著者による序文 ・米国の気候作業部会報告を読む②:地球緑色化(グローバル・グリーニング) ・米国の気候作業部会報告を読む③:海洋酸性化…ではなく海洋中性化 ・米国の気候作業部会報告を読む④:人間は気候変動の原因なのか ・米国の気候作業部会報告を読む⑤:CO2はどのぐらい地球温暖化に効くのか