車と路面をつなぐ唯一の部品であるタイヤは、ハガキ約1枚分の接地面積で「走る・曲がる・止まる」という基本動作を支えています。特に、滑りやすい雨の路面で安全に走行するためには、タイヤの排水性能をしっかり確認しておくことが重要です。
目次
溝の少ないタイヤは危険!排水性能が鍵となる
タイヤ交換の目安:スリップサインと製造年
溝の少ないタイヤは危険!排水性能が鍵となる

(画像=©︎Stocksnapper/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)
雨の日に、靴底の溝が少ない革靴が滑りやすいのに対し、溝が深く凹凸の多いスニーカーが滑りにくいように、車のタイヤでも同じことが言えます。
タイヤの溝(トレッドパターン)には、グリップ力の向上やロードノイズの低減など様々な役割がありますが、その一つが雨水を排水する機能です。溝が多く残っているタイヤほど排水性能が高く、濡れた路面で滑りにくくなります。
タイヤの残り溝が少なくなると排水性能が落ち、路面とタイヤの間に水の膜ができやすくなります。これによりグリップ力が低下し、スリップが起きやすくなるのです。排水性能の低下は、旋回性能やブレーキ性能の低下にも直結するため、安全な走行にはタイヤの残り溝が大きく関わっていることを認識しておきましょう。
タイヤ交換の目安:スリップサインと製造年

(画像=©YK-image/stock.adobe.com,『MOBY』より 引用)
タイヤの溝には、公道を安全に走行するための基準が定められています。
- スリップサインを確認する
残り溝の深さが1.6mmを下回るタイヤは、道路運送車両法の保安基準を満たしていないため、公道を走行することはできません。タイヤには1.6mmの残り溝を示す「スリップサイン」があり、このサインが出ているタイヤでの走行は整備不良に該当し、違反点数2点、普通車で反則金9,000円が課せられます。
また、法規上は残り溝1.6mmまで使用可能とされていますが、新品の溝(約8mm)が半分以下の4mmになると、性能が急激に低下し始めるため注意が必要です。
- 製造年を確認する
製造から長い年月が経っているタイヤにも注意が必要です。タイヤに使われている天然ゴムや合成ゴムは、長期間空気や日光にさらされると酸化や硬化が進みます。硬化したタイヤは、溝が十分に深くても排水性能が落ち、ひび割れを起こしやすくなるため、走行中に破損する危険性も高まります。タイヤの側面には製造年と製造週が記されているので、購入から5年以上が経過しているタイヤは、溝が残っていても交換を検討しましょう。