聖書の物語は書き換えられるのか
主流の考古学者は、この遺跡を約3000年前のウラルトゥ王国時代、あるいは中世のものと見なしている。しかし、彼らもまた、この遺跡がまだ十分に調査されておらず、年代が確定していないことを認めている。
一方でラクロワ氏のような研究者は、聖書に記された「ノアの大洪水」の物語が、それよりはるかに古いメソポタミア文明の神話(ギルガメシュ叙事詩など)から派生したものであるという定説に、新たな視点を加える。ヴァン湖の水中都市こそが、それら全ての洪水神話の源流となった、実在の出来事の痕跡ではないかというのだ。

(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))
彼が描くシナリオはこうだ。かつてヴァン湖のほとりには、高度な文明が栄えていた。湖の水位は何千年もの間安定していたが、ある日、ネムルト山の大噴火が全てを変えた。湖の水位は一気に30メートル以上も上昇し、繁栄を極めた都市は一瞬にして湖の底に沈んだのだ。
石材は年代測定ができないため、決定的な証拠を得るには、遺跡周辺から有機物(堆積物や遺物など)を発見する必要がある。ラクロワ氏らのチームは、最新の画像技術を駆使して、この9月にも本格的な調査に乗り出す予定だ。
もし、この水中都市が本当に1万2000年以上前のものであったと証明されれば、それは単に一つの遺跡の発見にとどまらない。聖書の物語の起源を塗り替え、人類史の年表そのものを書き換える、世紀の大発見となるかもしれない。
参考:Daily Mail Online、ほか
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