さらに、わずかな飲酒でも脳の働きを鈍らせることがあるため、禁酒によって集中力や記憶力が改善される人もいます。
1カ月後、心と体が軽くなる
1カ月経つころには、心の健康にも明確な変化が現れます。
アルコールは不安や抑うつの症状を悪化させることがありましたが、多くの人が「気分が前向きになった」と感じるようになります。
重度の依存者でさえ、1〜2カ月で明らかな改善を報告しています。
この時期には体重や体脂肪が減る人も多く、肌の調子も良くなります。
アルコールによる炎症や脱水が収まることで、顔色が明るくなり、肌にハリが戻るのです。
胃腸の不調——たとえば胃もたれ、下痢、膨満感、胸焼けなど——も、この頃にはかなり改善されるでしょう。
さらに血圧は平均して6%低下し、インスリン抵抗性(糖尿病のリスク要因)も25%改善されるというデータもあります。
がんのリスクを高める成長因子も減少するため、1カ月の禁酒が病気予防に直結することがわかっています。
半年後、そして1年を超えるとどうなる?
6カ月後、肝臓が生まれ変わる
禁酒から半年も経つと、肝臓の修復はさらに進みます。
中程度の飲酒者であれば、この時点で肝臓のダメージはほぼ完全に回復している可能性があります。
重度の飲酒者でも、感染症への抵抗力が高まり、体調全体が改善されたと感じる人が多くなります。
免疫系、代謝、消化機能、そしてホルモンバランスに至るまで、全身の働きが正常化していくのです。
1年後、未来の病気リスクが下がる
1年、あるいはそれ以上禁酒を続けると、慢性疾患のリスクそのものが大きく下がります。
アルコールは心臓病、脳卒中、2型糖尿病、そして7種類以上のがんと関連があるとされています。
その中には乳がんや大腸がんなど、特に女性や中高年に多いがんも含まれています。
また、高血圧は世界で最も致死率が高いリスク要因とされており、アルコールはこれを確実に悪化させます。