カツオノエボシは一見クラゲのように見えますが、実は「ヒドロ虫の集合体」であり、毒針を持つ触手で多くの魚類をしとめる危険な存在です。

しかしオスのブランケット・オクトパスは、このカツオノエボシの猛毒に耐性を持っているのです。

彼らはカツオノエボシの触手の中にこっそり入り込み、その一部を切り取って持ち帰り、自分の「ムチ」として使います。

その触手には依然として毒のある刺胞(ネマトシスト)が含まれており、オスはそれを振り回すことで、天敵を遠ざける武器として活用します。

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カツオノエボシ/ Credit: ja.wikipedia

このようにして、体の小ささを補うために、ブランケット・オクトパスのオスは知恵と適応力で生き延びているのです。

つまり、「小さくても侮れない存在」というわけです。

海の中には、まだまだ私たちが知らない不思議な生き物たちがたくさんいます。

ブランケット・オクトパスのように、「小さすぎるオス」と「大きすぎるメス」が同じ種として共存し、それぞれの形で生存戦略を磨いてきたという事実は、自然界の進化の多様性と奥深さを教えてくれます。

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参考文献

The Blanket Octopus Has The Most Extreme Sexual Dimorphism In The Animal Kingdom
https://www.iflscience.com/the-blanket-octopus-has-the-most-extreme-sexual-dimorphism-in-the-animal-kingdom-80008

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。

編集者

ナゾロジー 編集部