ラグランジュ点とは、天体と天体の重量で釣り合いが取れる「宇宙の中で安定するポイント」のことです。

地球と太陽においても、このラグランジュ点が5つ(L1~L5)あり、この位置に配置された物体は、地球から見て常に同じ位置をキープしながら太陽の周りを公転することになります。
チームはL1に宇宙構造物を配置してダストをバラまけば、常に太陽光を遮れると考えました。

しかし、そもそもこの案には大きな課題があります。
大量のダストをどこから、どのように用意するのか、という点です。
計算の結果、太陽光を遮るのに十分な量のダスト(年間1000万トン以上)を地球から宇宙構造物に供給し続けるには、天文学的なコストと労力が必要だと分かりました。
そこでチームは、より現実的な別の方法を探してシミュレーションすることにしました。
その方法とは、「月の一部を爆破する」というものでした。
月の一部を爆破して「月レゴリスをばらまく」と地球温暖化が逆転する!?

月面は、厚さ数m~数十mほどの「月レゴリス」と呼ばれるダストの層に覆われています。
そこで研究チームは、この月レゴリスをラグランジュ点のL1に向けて噴射し、太陽光を遮るという案をコンピュータモデルで研究することにしました。
月面を爆破するなどして大規模な掘削を行い、そこで得られた大量の月レゴリスをカタパルトのような機械で打ち上げるのです。