つまり、サワガニは親の近くで安全にカニの形に成長する、珍しいタイプの淡水カニ。初夏に出会える生まれたての小さなサワガニたちは、まるで親子で仲良く暮らしているようにも見えて、微笑ましい光景です。

そんな小さなサワガニを見つけたら、自然の中で育まれる命のつながりを、そっと観察してみてくださいね。

ごく稀に出会える青いサワガニ

さらにサワガニには、ごく稀に「青い個体」が発生します。

通常は赤褐色や茶色のサワガニですが、全身が透き通るような青色に染まった個体が生まれることがあるのです。

これは突然変異による色素異常で、自然界ではとても目立つため、残念ながらなかなか生き延びることができません。

もしも川遊び中に青いサワガニを見つけたら、それはきっと特別な出会いです。ただ、珍しいからといって持ち帰らず、できれば自然の中でそっと見守ってあげてくださいね。

身近な清流で生活する<サワガニ>の特殊な子育てスタイル 卵からカニの姿で誕生?沢にいた青いサワガニ(提供:PhotoAC)

夏になったらサワガニに会いに行こう

サワガニは、身近な川に暮らしていながら、珍しい生態を持つ生き物。その可愛らしい姿、親子で生き抜くたくましさ、そして運が良ければ出会えるかもしれない青い個体──どれも魅力にあふれています。

身近な清流で生活する<サワガニ>の特殊な子育てスタイル 卵からカニの姿で誕生?カエルと一緒にカゴに入れていたカニ(提供:halハルカ)

最後に、毎年サワガニ観察をしている筆者の肌感によるサワガニ探しのアドバイスを少しだけ書いておきますね。

時間は午前中、水遊びシーズンににぎわう場所であればシーズンはじめがおすすめ。縄張りがあるのか、大きな石の下には大物がいる可能性大です。

清流がうれしい季節になったら、ぜひ石をそっとめくってサワガニを探しを楽しんでみてくださいね。小さな発見が、きっと忘れられない夏の思い出になりますよ。

<halハルカ/サカナトライター>