次にインドと中国です。トランプ氏の戦略である「ロシアとの商取引をするものにはペナルティを課す」という点についてどう対応するのか、この足並み調整が8月の両者会談の重要なテーマの一つであることは間違いないでしょう。インド、中国はロシアから原油を購入していますが、報道が二転三転しており、つい1-2日前はインドはdoesn’t matter (関係ねぇ!)という論調だったものがLet’s see (どうしようかね?)に変わってきている感はあります。報道を読み取る限り、モディ首相は考えあぐねているようでここは習近平氏と調整するのがベストという判断に動いたと見ています。
これが何を意味するかといえばトランプ氏とプーチン氏が会談しても即座の本質的解決はないことを前提にしているように見えます。
一応、考えられるシナリオは
トランプ氏仲介により停戦合意。和平合意に向け突き進む:可能性はかなり低い とりあえず停戦するもその後、交渉も進まず外的状況は何ら変わらず:ありうる。その場合、中印のアメリカ関税対策要 会談の実質成果ははなく、停戦もなく、継続交渉:最もありうる。その場合、中印が外交を含め、どう立場を表明するか? 会談決裂、アメリカはロシアを威嚇:やりかねないが、トランプ氏はそこまでの度胸はない
結局のところ、仮に停戦になろうともアメリカがロシア関連の経済制裁を解かない限り、ロシア産原油輸入などの関税問題が消えることがなく、中国とインドはトランプ氏が25%程度のペナルティ関税を課そうという点にどう対応するか切実な問題になります。
私の考えるところでは中国もインドもアメリカになびかない、つまり関税でいじめられているブラジルやG20会議にトランプ氏が不参加としている南アフリカを含め、BRICSの構成国の結びつきをより強化させ、泥沼に陥ることになりかねないとみています。
ではそれ以外の国、特に新興国は踏み絵になるのか、といえば「いいところ取り」をする傾向がますます強まるとみています。言い換えるとアメリカの覇権主義は案外もろく、崩れやすい状況を促進するだろうとみています。またトランプ氏が派手に立ち回れるのはどう見てもあと2年が精一杯です。とすればロシアも中国もインドもそれぐらいは「耐えられる」でしょう。