Wi-Fiサービスを提供している施設は決して珍しくない。そのため、建物に入ったらまず「Wi-Fiパスワードを確認する」という人も多いはず。

インターネット上では近年、長崎県長崎市にある「長崎原爆資料館」のWi-Fiパスワードが話題となっているのをご存知だろうか。

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■パスワードの数字8文字

まず、同館内に掲出されているフリーWi-Fiの情報を見てみよう。そのIDは「NagasakiAtomicBombMuseum」、長崎原爆資料館の英語表記である。

そして本題のパスワードには「19450809」という数字8文字が並んでいたのだった。

■「素晴らしいパスワード」と称賛相次ぐ

こちらの8文字を受け、ピンと来た読者も多いだろう。

Xユーザーからは同パスワードに対し、「これしかないパスワードと言える」「良いパスワードだと思う。忘れないし」「自然に覚えられるのすごい」「我われ長崎市民にとって、この日は忘れちゃいけない日」「市内のパスワードを、全てこれにしても良いくらいだ」といった称賛の声が多数寄せられていた。

そこで今回は、当該のWi-Fiパスワードの詳細をめぐり、長崎市 平和推進課に詳しい話を聞いてみることに。すると、数字8文字に込められた同市の思いが明らかになったのだ。

■長崎市にしかできないパスワード、その真意

当該のパスワードの詳細について、長崎市 平和推進課の担当者は「2015年4月、長崎原爆資料館にWi-Fiが導入された際に設定されたものです。原爆被爆の悲惨さと、今なお続く被爆者の苦しみを忘れることなく、『長崎を最後の被爆地にしなければならない』という思いのもと、長崎に原爆が投下された1945年8月9日(19450809)をパスワードとして設定しております」と、説明する。

長崎原爆資料館
(画像=『Sirabee』より引用)

長崎市に原子爆弾が投下されたのは、1945年(昭和20年)8月9日午前11時2分のこと。

その威力は凄まじく、同市の報告によると、中心点より500m圏内の民家は粉砕され、生存者は屋内外共にゼロ。

非常に強烈な爆風は爆心より1km圏内にある立木をことごとく爆風の方向へ薙ぎ倒し、2km圏内の鉄筋コンクリート建物を屈曲させ、家屋の窓ガラス、扉、障子などの破壊は15km圏内にまでおよんだ。

この原爆投下による重軽傷者数は74,909人。そして、73,884もの尊い命が犠牲となっている。

このように日本人として…いや、人類として決して忘れてはならない日付が、パスワードとして設定されたのだ。