古気候の代理指標は、地球の温度における古気候の変化と、強制要因の変化の推定値を比較することで、過去の気候の感度を評価するために使用されます。最も情報量の多い2つの期間は、現在の気温より約3~7°C低かった最終氷期最盛期(約2万年前)と、現在の気温より1~3°C高かった中期鮮新世(約300万年前)です。最終氷期最盛期の気温低下が小さいことは、気候感度が高い値をとる可能性が低いことを示す最も確かな単独の証拠です。しかし古気候における推定値は、推定された温度と強制力の何れにも大きな不確実性があるため、やはり不確実です。さらに、過去の気候状態に基づく気候感度の推定値は、現在の気候システムの状態に適用できない可能性があります。

AR6において、IPCCはSherwood et al.(2020)の結果に主要な重きを置きました。この研究は、歴史的データと古気候プロキシをプロセスベースのアプローチと組み合わせ、ECSの最良推定値として3.1°C(可能性の高い範囲:2.6–3.9°C)としました。