yattaa/iStock

(前回:外国人労働者政策:司令塔機関に求められる視点)

外国人労働者政策と情報公共インフラの構築

外国人労働者政策は、単なる労働力補填にとどまらず、国家戦略的な制度設計と位置付けられる。その根幹には、「社会的納得性の確保」と「政策運営の正統性の保障」があり、いずれも国民との合意形成を不可欠とする。

この点において、広報は単に「政府の意図を伝える技術」ではなく、政策そのものの社会実装を支える基盤、すなわち情報公共インフラを構築する行為だ。国民は広報によって政策の設計根拠、実行プロセス、論点構造を認識し、議論に参加する権利を獲得する。

広報制度の試案:司令塔機関における情報開示の構造

外国人政策に対し慎重な世論が根強い現状において、議論の活性化と政策推進の両立が求められる。そのためには、政府方針の明示のみならず、各政党の政策についても、ひと目で比較・理解できる形で公表される仕組みが必要である。

提案する広報制度では、次のような情報開示の枠組みを設ける。

【政府発表】政府として最低限公表すべき項目

業界別の労働力不足状況と外国人の分野別受け入れ見通しを、中長期視点で定期公表 本件に関する課題と整備計画の一覧、ならびに進行状況の随時更新

【各国政政党の発表】政党ごとの政策情報をわかりやすく比較できる仕組み

政党別に、外国人の分野別受け入れ見通しを中長期で公表 政党ごとの課題別政策概要を、必要に応じて更新し一覧で表示

政府発表のみならず、国政政党の政策や受入れ人数を一覧で確認できるという点において、まったく新しい試みとなる。

このような仕組みにより、政府・政党ごとの政策情報の「履歴をたどるように閲覧できる状態」(=ログのような時系列閲覧)を実現し、政策の変遷と一貫性を可視化できる。これによって国民の「知る権利」が確保されるとともに、報道機関が高品質な報道や討論企画を構築する際の素材ともなり得る。