憧れのセレブ(有名人)の投稿を毎日チェックし、彼らの言動に一喜一憂してしまう。
そんな経験はないでしょうか?
一見無害に思える「有名人への憧れ」ですが、米ジョージアサザン大学(GSU)の最新研究によって、こうしたセレブ崇拝には、ナルシシズム(自己愛)や物質主義といった深層心理との関係があることが明らかになりました。
中でも、「自分とセレブが似ている」と感じている人ほど、その憧れが強まり、自己中心的な思考や情緒の不安定さが高まる傾向にあったとのこと。
研究の詳細は2025年7月2日付で学術誌『International Journal of Psychology』に掲載されています。
目次
- セレブとの「一方通行なつながり」が心に及ぼすもの
- 自己愛と物質主義をつなぐ「セレブという鏡」
セレブとの「一方通行なつながり」が心に及ぼすもの
近年のSNSの普及によって、有名人の私生活や日々の発言に触れる機会は格段に増えました。
InstagramやTikTok、YouTubeなどを通じて、私たちはまるで「友達」のように彼らの生活を追いかけることができます。
しかし、そうした関係は実際には一方通行であり、心理学の分野では「パラソーシャル関係」と呼ばれています。
つまり、本人は自分を知らないのに、こちらだけが深くつながりを感じている関係です。

この「セレブとの一方通行なつながり」が心にどのような影響を及ぼすのかを調べるため、アメリカ南東部の大学に通う215人の学生を対象に行われたのが、今回の研究です。
参加者には、好きなセレブについてどの程度の憧れや関心を持っているかを測定する「セレブ態度尺度(Celebrity Attitude Scale)」に加え、ナルシシズム(自己愛)傾向や物質主義的価値観を評価する複数の心理尺度に回答してもらいました。
さらに注目されたのは、セレブと自分自身との「類似感」を問う項目です。