また、この標本がまだ成体ではなかった(骨学的には未成熟)にもかかわらず、特徴が明確だったことも、新種と認定する決め手となりました。
体長は約3.2メートルと推定され、ジュラ紀の他のプレシオサウルス類と比べても十分に大型でした。
激変の時代を生き抜いた未知の海洋種
プレシオネクテス・ロンギコルムが生きていたのは、地球史でも特に重要な時代、トアルシアン期(約1億8300万年前)です。
この時期、地球ではトアルシアン海洋無酸素事変(Toarcian Oceanic Anoxic Event, TOAE)と呼ばれる大規模な環境変動が起きていました。
火山活動によって大量の二酸化炭素が放出され、海水温が急激に上昇、酸素が欠乏した海では多くの生物が絶滅に追い込まれました。
この結果、海水温は緯度によって異なるものの、1~6℃上昇したとされています。
最盛期には、トアルシアン期の表層海水温は平均21℃に達していました。
そうした“海の危機”の最中に、この新種の首長竜は海を泳いでいたのです。
同チームのダニエル・マジア(Daniel Madzia)氏は、今回の発見について「地球の重要な時期における海洋生態系の進化のパズルに新たなピースを加えるものです」と説明しています。
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参考文献
New ancient marine reptile species discovered in Germany’s famous Jurassic fossil beds
https://www.eurekalert.org/news-releases/1093140
New long-necked marine reptile species discovered in Germany’s famous Jurassic fossil beds
https://phys.org/news/2025-07-necked-marine-reptile-species-germany.html