■偶然の行動から生まれた「U.F.O.」

様々な工夫と趣向が凝らされた製品開発だが、意外にも苦労したのは「ネーミング」だったそう。

興味深いエピソードとして、日清食品の広報担当者は「社内で広告代理店の担当者や、開発担当者と一緒に会議を開いていたときのことです。どうしてもネーミングが決まらず悩んでいたときに、ある社員が何気なく丸いプラスチックのフタを投げてみたところ、空中を滑るように飛んでいったのです」と語る。

『日清焼そばU.F.O.』
(画像=『Sirabee』より引用)

その様子が空飛ぶ円盤そっくりだったことから、「U.F.O.」という名前が閃いたのだ。

広報担当者は「当時、日本はUFOブームで、テレビや新聞では連日、目擊情報が飛び交っていました。そのため、その場で『日清焼そばU.F.O.』でいこう、と決まったのです」と、補足している。

また、Xの投稿にあったとおり、製品名の英3文字は、U=「(ソースが)うまい」、F=「(麺が)太い」、O=「(キャベツが) 大きい」の頭文字にもなっているそうだ。

■商品名は「美味しさ」の象徴だった

その商品名が表すように、「濃厚なソース」「太くて食べ応えのある麺」「大きくてシャキシャキとしたキャベツ」の三本柱こそ、発売当時から現在に至るまで変わらない『日清焼そばU.F.O.』のアイデンティティであり、ユーザーに愛され続けている理由なのだ。

日清食品の広報担当者は「その中でも、濃厚なソースの香りには特にこだわっています」とのコメントしており、確かにこのガツンと来る香りは、一度食べたら忘れられず、ヤミツキになってしまう。

半世紀にわたって魅力の根幹がブレない、正に不動のベストセラー商品『日清焼そばU.F.O.』だが、もちろん様々な改良が施され、進化し続けている。

『日清焼そばU.F.O.』(1999年)
(画像=『Sirabee』より引用)

例えばパッケージ。その軌跡について、広報担当者は「発売当時は、かぶせ蓋に印刷した紙を乗せていましたが、1997年からはフタに直接デザインを印刷し、赤と黒を基調としたパッケージに変更しました。1999年には紙とアルミ箔を貼り合わせたフタをカップに圧着させる方式に変更するとともに、『ターボ湯切り』を導入し、湯切り時間を約半分に短縮しました」と、振り返る。

そして2009年からは、カップに直接デザインを印刷するのではなく、現行商品のように外装のシュリンク包装に印刷することで、より鮮やかで美しい見栄えを実現。

『日清焼そばU.F.O.』(2009年)
(画像=『Sirabee』より引用)

加えて、「同年には、麺をそれまでの“ちぢれ麺”から、新開発した“ストレート麺”にリニューアルし、生麺のような本格的な見た目と食感を実現しました」とのコメントも得られている。

『日清焼そばU.F.O. 油そば ラー油マヨ』
(画像=『Sirabee』より引用)

通常のタイプに加え『日清焼そばU.F.O. 油そば ラー油マヨ』や、期間限定の『日清焼そばU.F.O. カップヌードルシーフード焼そば』など、豊富なバリエーションを展開している点も見逃せない。

『日清焼そばU.F.O. カップヌードルシーフード焼そば』
(画像=『Sirabee』より引用)

次に『日清焼そばU.F.O.』を食べる際は、ぜひ進化の歴史、そして商品名に込められた思いを感じながら味わってほしい。