バチカン通信社「フィデス・サービス」によると、長崎大聖堂(浦上天主堂)に2日、2つ目の鐘が納められた。80年前の原爆投下で破壊された元の鐘に代わるもので、8月9日午前11時4分、原爆投下時刻と同時刻に初めて鳴らされる。この鐘は米国のカトリック信者から寄贈されたという。レンガ造りの双塔が印象に残る浦上天主堂は1959年、原爆禍を乗り越えて再建された。

浦上天主堂 バチカンニュースから 2025年8月2日

長崎大司教区の中村倫明大司教は「新しい鐘は、犠牲者を思い起こすための呼びかけであり、とりわけ米国民が、米国の爆弾によって破壊された鐘を鋳直し、教会に寄贈したことは、許し、和解、そして希望の具体的な証しである」と説明している。

2025年は聖年(Holy Year)だ。カトリック教会において特別な霊的恩恵を受けるための年を意味し、ローマ教皇によって宣言される。「聖年」は、罪の赦し(免償)を得たり、信仰を深めたりするために設定される特別な年で、カトリック教会の伝統ともいえる。多くの信者がバチカンや他の指定された聖地を訪れ、赦しを求めるために懺悔をし、祈りや慈善活動を通じて、信仰を再確認する機会という。

中村大司教によると、「第二次世界大戦中、日本のカトリック教会は平和を明確に訴える勇気を欠いていた。しかし今日、教会は声を上げることができ、また上げなければならない。原爆を経験した国として、私たちには平和の使者となるという特別な責任がある」と語っている。

バチカンニュースが1日報じたところによると、広島と長崎への原爆投下80周年を記念し、8月5日から10日まで、米国のカトリック司教らが日本を訪問する。この「平和巡礼」は、現在も続く核の脅威に反対し、犠牲者を追悼することを目的としているという。

代表団には、ブレイズ・J・クピッチ枢機卿(シカゴ)、ロバート・W・マックエルロイ枢機卿(ワシントン)、ポール・D・エティエンヌ大司教(シアトル)、ジョン・C・ウェスター大司教(サンタフェ)が含まれる。訪問時には、広島と長崎の教区の司教らが同行することになっている。米国からの訪問者は、平和のための諸宗教の祈りと追悼ミサに加え、公式の追悼行事にも参加する。