地質学的な時間スケールでは、地球の大気中の二酸化炭素濃度は、現在よりもはるかに高い水準で推移していました。約4億年前にはCO2濃度は2,000~4,000ppmと推定され、2億年から5,000万年前までの期間の大部分で1,000ppm以上を維持していました(Berner 2006, Judd et al. 2024)。過去3,500万年間、大気中の二酸化炭素濃度は徐々に低下し、氷河期には170ppmまで低下しました(Gerhart and Ward 2010)。現代の二酸化炭素濃度の変化率は過去の期間と比べて高いものの、地質学的証拠によると、植物と動物は現在よりもはるかに高い二酸化炭素濃度下で進化してきました。
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2025/08/08
米国の気候作業部会報告を読む②:地球緑色化(グローバル・グリーニング)
植物や動物にとって、いま程度や、今後見通される程度のCO2濃度で生育することは、何ら異常事態ではない、ということだ。
過去60年以上にわたり、植物が二酸化炭素濃度の増加にどう反応するかを調べた研究が数千件行われてきました。その圧倒的な結論は、植物、特にC3植物は追加のCO2から恩恵を受けるということです。CO2が成長に利益をもたらすメカニズムは2つあります:
代謝経路を介した光合成の活性化。 水利用効率の向上。これは、植物が葉の表面の気孔(孔)を開いてCO2を吸収することが理由です。CO2が不足すると、植物は気孔を長時間開いたままにしなければならず、その結果、水が蒸発します。CO2濃度が高い条件下では、気孔がより長い時間閉じたままになるため、植物が水をより長く保持でき、水利用効率が向上します。
図2.2はCO2濃度によって成長が促進された一例である。

図2.2:アブチロン・テオフラスティの成長。同一条件下で14日間培養し、CO₂濃度のみを変化させた結果。出典:Gerhart and Ward(2010)。注:「Current」は図中の1988年に相当します。
Deryngら(2016)は、気候変動が「水不足を悪化させる」と仮定しました。しかし、モデルは気候温暖化下で乾燥地帯が拡大すると予測しているものの、現在のデータは逆の傾向を示しています: 乾燥地域でも緑化が進んでいます。Zhangら(2024)は、CO2濃度の増加により「乾燥地帯の乾燥化が進んでも、植物生産性の全般的な低下は起こらない」と報告しており、現在乾燥している地域の最大4%のみが砂漠化が進むとされています。
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