一方、PHDIは2019年にEAT-Lancet委員会が提唱した「人と地球のための健康的な食事」に基づき、16の栄養・食品群から成る指標で150点満点です。

植物性食品の摂取量の適正さや、動物性食品の制限など、栄養と環境への影響の両面から評価されます。

では、どんな結果になったでしょうか。

ドイツの病院食は「健康的でない」と判明

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ドイツの病院食は健康的でないと判明 / Credit:Canva

分析の結果、分析対象となったドイツの医療施設で提供されている食事は、HEI-2020で39点から57点(100点満点)、PHDIでは30点から44点(150点満点)という、いずれも低評価にとどまっていました。

カロリーの大半は、赤身肉や乳製品などの動物性食品、白米や白パンなどの精製穀物、添加糖、飽和脂肪に由来するものでした。

一方で、健康的とされる植物性食品(豆類、ナッツ、果物、野菜、全粒穀物など)は、カロリー全体の20%未満にとどまり、PHDI で推奨される80%にはほど遠い状態でした。

たんぱく質も、特に介護施設では推奨量の73%未満とされており、サルコペニア(加齢性筋肉減少症)や回復の遅れといった健康リスクが懸念されます。

また、ビタミンB群、ビタミンC、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛などの微量栄養素も、推奨摂取量の67%未満と著しく不足していました。

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研究自体に限界はあるものの、大切な課題を明らかにした。もっと多くの国で「病院食」の栄養に意識が向いても良いはず / Credit:Canva

ちなみに環境面でみると、動物性食品は、食材全体の重量では33%程度であるにもかかわらず、環境負荷全体の約75%を占めていました。

特に、牛肉と豚肉は温室効果ガス排出量の約38%、土地利用の約45%に寄与しており、ヨーグルトなどの乳製品も環境負荷の大きな原因となっていました。

一方で、より持続可能なタンパク質源である豆類やナッツ類は総調達量の1%未満でした。