モライス氏は「聖骸布に見られる画像は、浅浮き彫りの像に布をかけたときに得られる接触パターンときわめて近い」と結論づけ、「これは3Dの人体ではなく、木、石、あるいは金属製の彫像をもとにした可能性が高い」と述べています。

この研究は聖骸布の正確な年代や材料を特定するものではありませんが、少なくとも布に写る像が「人間の遺体を包んで自然に生じたものではない」ことを強く示唆しています。

そして中世ヨーロッパにおいては、宗教的な人物を浅浮き彫りで描く技法──たとえば墓碑彫刻──が広く用いられていたことからも、聖骸布はそうした文脈で制作された可能性が高まっています。

トリノの聖骸布は、見る者によって「神の証」であり、「歴史の芸術」であり、あるいは「未解決の謎」でもあります。

今回の研究により、「イエスの遺体を包んだものではなく、宗教的意図を持った芸術作品だった可能性」が改めて示されました。

とはいえ、その神秘的な存在感と長い歴史が、人々の心に訴えかけてくることに変わりはありません。

科学は、布の真偽を明らかにする手がかりを一つひとつ積み上げていきます。

しかし最後にそれをどう捉えるかは、私たち自身の信仰、想像力、そして好奇心に委ねられているのかもしれません。

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参考文献

Shroud of Turin wasn’t laid on Jesus’ body, but rather a sculpture, modeling study suggests
https://www.livescience.com/archaeology/shroud-of-turin-wasnt-laid-on-jesus-body-but-rather-a-sculpture-modeling-study-suggests

3D models hint Shroud of Turin matches a medieval sculpture, not a ‘real human body’
https://interestingengineering.com/culture/shroud-of-turin-matches-a-medieval-sculpture