己を知り己の人生観を確立せねば節操は身に付きません。その意味で節操というのは、志や天命あるいは信仰といったものとも繫がっていると考えられます。それは自らの内に確固としてあるものです。正に天命というものを知りその命を立て自らを確立できたらば、少々の困難に動じることなく事の是非が的確に判断できる人物になれましょう。

『大学』では、「明徳を明らかにする」ことが大切だと「経一章」から教えています。人間である以上、みな生まれ持って良心というか明徳というものがあるわけで、終局この明徳に頼って自分の良心の声を聞き、自問自答する中で物事を判断するしかありません。少なくとも、やってはいけない事の判断が付く人間たることが大事です。

編集部より:この記事は、「北尾吉孝日記」2025年8月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。