― 参政党の主張と親和性がある、ということですか?
そうです。参政党は「反ワクチン」を正面に掲げているわけではありませんが、「体に入れるものは自分で選ぶべき」「自然回帰」「製薬会社を疑え」という文脈では一致します。
実はこれは反体制的な思想と親和性が高いものとなります。「自分の健康は自分で守る」という姿勢が、「国家に頼らない」「エリートを信用しない」という右派的な政治態度に変換されていくんです。

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SNSと「切り抜き」の時代に
― SNSの使い方も特徴的ですね。
参政党は、TikTokやYouTubeショートのような短尺・視覚重視のコンテンツをとても上手に使っています。
短い時間で「ワクチンは毒」「日本人ファースト」といったインパクトの強いメッセージを届ける。これが、生活の中にすっと入ってくるわけです。
しかも「切り抜き動画」を使った収益モデルも構築していて、支持=拡散=収益という構造になっています。支持者が「自分も稼げる」ことで拡散が加速します。これは、従来の政党とはまったく異なるエコシステムですね。
新しい「保守層」のかたち
― 健康志向から、保守的スローガンに共鳴するというのは驚きです。
一見リベラルに見える若者たちが、参政党の「日本人ファースト」「移民反対」「反グローバリズム」といった保守的な言葉にも違和感なく馴染んでいきます。その背景には、「自分の健康や生活を脅かすのは誰か?」という問いがあります。
その答えを「外国人」「政府」「グローバル企業」と見なす構造があり、それが新しい右派的な政治的な選好へとつながっています。
― いまの政治意識の変化についてひとことお願いします。
かつて政治は、イデオロギーや社会階級の問題でした。でも今は違います。「食べ物に何を選ぶか」「どんな運動をするか」「何を信じて健康を保つか」といったライフスタイルが、そのまま政治的態度をつくり出しています。