例えば1987年に文部科学省の海洋科学技術センターが開発した波力発電機のコストは63.2円/kWhです。

現在の陸上風力発電の発電コストが9~15円/kWhであることを考えると、当時の波力発電に事業性を見出すことはできませんね。

それでもこうした課題は改善されつつあります。

海に浮かべるだけで「約2万8000世帯分の電力」を生み出す!?

低コストな波力発電機の開発に成功
低コストな波力発電機の開発に成功 / Credit:Sea Wave Energy Ltd – SWEL(YouTube)_Waveline magnet concept design(2022)

改良を重ねてきたウェーブラインマグネットは、マシン自体が頑丈で軽量になっており、しかもシンプルな設計が採用されています。

そのため製造や輸送にかかるコストを大幅に削減できるようです。

また1つのユニットが生み出す電力が100MWにも達すると言われており、これは約2万8000世帯分の電力に相当します。

これらの性能により、発電コストは1ペニー(約2円)/kWhとなりました。

SWEL社は、「波力発電業界の基準値を下回り、化石燃料発電と同等の能力をもつようになる」とさえ主張しています。

この主張が実際にどこまで実現するかは分かりませんが、波力発電機としての性能は着実に向上しているのでしょう。

波の力を弱めるのにも役立つ
波の力を弱めるのにも役立つ / Credit:SWEL

さらにウェーブラインマグネットは、海岸に到達する波の力を弱めることもできます。

複数のウェーブラインマグネットを配置することで、大量に発電しつつ、海岸周辺を守ることもできるのです。

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参考文献

this spine-like floating device can convert wave power into electricity
https://www.designboom.com/technology/sea-wave-energy-limited-waveline-magnet-floating-device-08-16-2022/#