しかしその目的はいずれもアジア諸国を解放することではなく、日本がアジアの盟主として支配することだった。徳冨は「亜細亜モンロー主義は、すなわち日本人によりて亜細亜を処理するの主義なり」とした。

大東亜共栄圏でもアジア諸国は保護国で、将来は領土にする予定だったが、それを実現する経済力がなかった。日本はアジアから追い出したヨーロッパの宗主国の代わりに彼らを支配しただけだった。

これぐらいは新書でも読めば書いてあるが、高校の社会科教師だった神谷氏は、この程度の知識もなしに「自民党には言論の自由がない」と思って参政党を立ち上げたらしい。

無知な人をだますのは(山本太郎氏のように)デタラメな話を本気で語れる無知な政治家の得意な愚民マーケティングだが、本を読まないでネトウヨ動画ばかり見ている若者がそれにだまされるのは困ったものだ。

大東亜共栄圏-帝国日本のアジア支配構想 (中公新書 2707)
大東亜共栄圏-帝国日本のアジア支配構想 (中公新書 2707)