博物館はなぜ沈黙するのか。偽物か、それとも“不都合な真実”か

 これほど興味深い遺物でありながら、イスタンブール考古学博物館は、その出所や背景について公式な情報をほとんど公開していない。

 一時期、博物館の学芸員たちは、この遺物を「偽物」だと結論付けた。その理由は皮肉なものだった。「当時の様式とかけ離れており、何よりも宇宙カプセルに似すぎているから」というのだ。過去に宇宙船など存在するはずがない、ゆえにこれは石膏と大理石の粉で作られた現代の悪質ないたずらに違いない、と。

 しかし、後にトルコ文化省が行った化学分析では、この遺物が現代の偽物であるという説は否定されたとも言われている。情報は錯綜し、真相は闇の中だ。

 この「イスタンブール・シェム」は、一体何なのか。現代に作られた精巧な偽物か、それとも我々の常識が及ばない説明不可能な何かのか。

 確かなのは、歴史と神話が交錯するこの小さな石の塊が、我々の知らない、より複雑な過去があった可能性を静かに示唆しているということだけだ。謎が解明される日は、果たして来るのだろうか。

参考:Espacio Misterio、ほか

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