
トルコ、イスタンブール考古学博物館。その収蔵庫の片隅に、公式の考古学からは忘れ去られた、一つの不気味な遺物が眠っている。長さ約23cmのその石の彫刻は、一見すると風化したありふれた出土品にしか見えない。しかし、注意深く目を凝らすと誰もが言葉を失うかもしれない。
円錐形の先端、後部に取り付けられたかのような複数のフィン、そしてその中には、まるで操縦桿を握るかのように座る人型のパイロット。あまりにも「宇宙ロケット」に酷似したその姿は、我々の歴史観を根底から揺るがす、ありえない物体(オーパーツ)なのである。
操縦桿を握るパイロット?あまりにも“未来的”な彫刻
この遺物は、通称「トプラッカレ・スペースシャトル」。1975年、トルコ東部の古代都市トゥスパ(現在のトプラッカレ)で行われた発掘調査で発見されたとされ、紀元前830年~612年に栄えたウラルトゥ王国の時代のものと見られている。つまり、今から約3000年も前の遺物ということになる。
その形状はあまりにも未来的だ。弾丸のような形状の機体内部には、一人のパイロットらしき人物が座り、その手はコントロールパネルのようなものの上に置かれている。後部は、現代のロケットの安定翼(フィン)や複数の噴射ノズルを彷彿とさせる構造になっている。
これは、古代人の単なる気まぐれな空想の産物なのか。それとも、現代人が勝手にロケットに見立てているだけなのか。あるいは、我々が知らない古代に存在したはずのないテクノロジーを意図的に表現したものなのだろうか。
神々の乗り物「シェム」か?古代宇宙飛行士説との奇妙な符合
この謎の遺物に、古代宇宙飛行士説の大家として知られる故ゼカリア・シッチン氏が光を当てた。彼は1997年に博物館を訪れ、この遺物を実見。「イスタンブール・シェム」と名付け、自説の強力な証拠だと主張したのだ。
シッチン氏は、古代シュメールの粘土板を解読し、神々(アヌンナキ)が地球を訪れる際に使った乗り物「シェム」の存在を提唱した。従来の学説では「シェム」は神殿や神の栄光を意味する言葉とされてきたが、シッチン氏はこれを「空を飛ぶ乗り物、すなわち宇宙船」だと解釈したのだ。
シッチン氏によれば、この石の彫刻は、まさに神々の乗り物「シェム」の模型そのものだという。円錐形の先端、複数のエンジン、そして一人のパイロット。彼の説によれば、すべてがシュメールの記録と符合するというのだ。
