黒坂岳央です。

「20代の内は仕事はほどほどにしてよく遊び、30代から頑張ればいい」という趣旨の投稿をよく見る。言いたいことはわからなくもないが、それを言葉通りに実現できた事例はほとんどない。

筆者は20代前半まで遊び、その後に遅れを取り戻すべく努力をしたつもりだが、この遅れは会社員としてキャリアを形成の上で致命的な遅れとなった。自分はなんとかキャッチアップできたが、20代をサボらずに頑張った人より何倍も努力が必要だったし、変化の早い今の時代では通じなかっただろうと思う。

厳しい現実として、30代・40代で仕事を頑張るには20代でハードワークしておく必要がある。結局、仕事は地続きになっているので20代を遊んで過ごすと、30代以降はかなり難しくなってしまう。

key05/iStock

第一印象が未来を決める

20代、特に新人時代に「こいつはデキる」「ぜひこの仕事をさせてみよう」と決裁者に思わせることができれば、その後のキャリアは比較的スムーズに運ぶしビジネスチャンスもつかめる。この現象には「初頭効果、ハロー効果」といった心理学的な裏付けがある。

つまり、最初に「優秀」と見なされれば、その評価はなかなか覆らない。一方で「この人はだめだ」と判断されると、悪印象を挽回するには多大な労力が必要となる。

そして評価基準は年齢で大きな差があり、加点基準で評価が甘い時期に「どれだけスキルや経験、実績を作れるか?」ということが極めて重要だ。これが中高年になると「その年齢ならこのくらいできて当たり前」となる。逆に小さな失敗が大きなマイナスとなる「減点評価」がベースだ。

そのため、「新人時代の好印象」は貴重な資産となるのだ。

日本より厳しい海外

こういう話をすると「日本は年齢差別がひどいが、その一方で海外はチャンスが開かれている」といった意見が出てくる。だが、職場における「初速優位」「可能性を見てもらえるのは若手の内」という考え方はアメリカや中国などでも基本的に同じである。