そして彼はプラズマが電子とイオンが自由に動く電離ガスであり、非常に特殊な物理的性質を示すことを明らかにしたのです。

では、この物質の第4の状態とはなんなのでしょう?

気体でも液体でも固体でもない!物質の第4の状態「プラズマ」

私たちは小学校の理科で、この世の物質は温度によって「気体」「液体」「固体」のいずれかの状態を取ると教わります。

物質の三態
物質の三態 / Credit:depositphotos

しかし、ラングミュアは、この3つの状態に収まらない第4の状態としてプラズマを発見したのです。

最初発見は真空管の中でしたが、プラズマは通常、物質を非常に高温に加熱されたとき、気体よりもさらに上位のエネルギー状態として現れます。

通常高温の物質は分子がバラバラに飛び交って気体になりますが、さらに高温の状態になると、分子どころではなく原子を構成する電子と原子核(陽イオン)がバラバラになってしまうのです。

つまりプラズマは、原子を形作るための電気的な結びつきの力よりも、熱運動量の方が上回ってしまい、原子の基本的な構造を保てなくなってしまった状態なのです。

このバラバラになった電子が原子のもとに戻ると、電子は持っていた余剰エネルギーを光として放出します。そのためプラズマは自己発光する性質があり、これがオーロラやネオン管の光の正体です。

またプラズマは電離したガスであるため、電気や磁場の影響を受けやすい性質を持ちます。

例えば最近良く耳にする太陽嵐の原因はプラズマです。

太陽の中心部は温度が1600万度に達し、水素がプラズマ状態になっています。これが太陽の大気(コロナ)となって太陽の周囲を覆っているのですが、磁場の乱れで太陽表面に激しい爆発(フレア)が起きると、この磁場の影響で太陽のプラズマが吹き飛ばされ、太陽嵐となって宇宙空間を吹き荒れます。

太陽表面の磁力線に沿って移動するプラズマ
太陽表面の磁力線に沿って移動するプラズマ / Credit: University of Central Lancashire