Nature Reviews Drug Discovery誌に「The rise of China’s pharmaceutical industry from 2015–2024: a decade of innovation」というタイトルの論文が報告されている。ここでは、中国の医療分野における急速な発展を誇っている。

中国は過去10年間、医療産業の国際競争力強化のため、抜本的な規制改革と戦略的施策を実施してきた。2015年以降の改革によって、審査承認プロセスを迅速化し、優先審査・条件付き承認といった制度が整備され、研究開発の効率が飛躍的に向上した。これによって、中国は後発医薬品中心の製造国から、革新的医薬品開発拠点へと変貌を遂げたのである。

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2024年には93種類の革新的医薬品が初めて承認されたが、このうち42%が中国国内開発品だったと述べられていた。中国の革新的医薬品のうち世界で初めて承認を受けた割合も急増し、2024年には米国(40%)に次ぐ38%に達している(日本は8%)。2015〜2024年の10年間に、中国企業は4,382品目の新薬候補のヒト臨床試験を開始したが、その大部分が細胞療法や低分子薬、モノクローナル抗体であった。多くの製品は開発初期段階にあるので、今後、さらなる成長が期待される。今年中、あるいは、あと数年後には米国を凌駕するかもしれない。

資本面でも、バイオ医薬品セクターはこの10年で約9兆円の資金を調達している。特に2018年以降、香港や中国本土での上場制度改革が革新企業の資金調達を容易にした。特に、ADCや核酸医薬品といった先端分野には依然として資金が集まっている。私の友人も会社立ち上げてすぐに1000億円を集めた。この資金調達システムの差(2桁くらい違う)が日本の課題だ。日本はなぜうまくいかなかったのかの課題抽出もその反省も対策もせずに、制度だけを少しずつ変えているが、結局、資金をドブに捨てているだけだ。