だから、公明党はわりに石破首相に好意的なのだが、これが裏目に出ている。つまり、保守派の安倍政権のときは、公明党は適度なブレーキ役としてよい感じだった。平和安全法制のときでも、議論を尽くし、必要な歯止めをかけて成立に貢献した。
ところが、現在の石破政権のもとでは、野党との地道な橋渡しには貢献しているのだが、これは、だからといって票が増えない。たとえば、103万円の壁でも、デタラメな国民民主党案に対して、細かく必要な制度改善を提案し、低コストで狙いを実現したが、一般国民には分かりにくかったし、手柄はいい加減な案を出した国民民主に盗られた。
裏金問題では、自民党がゆるい処罰で逃げようとするのを公明党が厳罰を主張し、ほどほどの協力に留めるのならよかったのだが、岸田・石破首相が最初にやたら厳罰を打ち出し、実際にはそれほどでもないという対応をしたので、公明は出る幕がなかった。
公明党については裏金問題のとばっちりで票を減らしたが、保守派いじめを岸田・石破がして参政党を台頭させなかったら、埼玉、神奈川、愛知で参政党に負けることはなかった。
それに、自民党から離れた票は、残念ながら公明党にはいかないのだ。私も「自民党を今度は罰したいが、自公政権の安定は大事だ」と思う人は、比例で公明党に投票したらと書いていたが、それに応じてくれた人が多くいるとは思っていない。
選挙応援でも、安倍が公明党候補の応援に入れば、保守派もしぶしぶでも公明候補に入れた。ところが、公明候補に石破が応援に入れば、保守派は参政党に流れた。これが総選挙と参議院選での公明党敗北の大きな原因だ。石破が応援に入ったら、リベラルが公明に投票するのか? 普通はない。新聞が褒めても、投票や当落につながらないと意味がない。
安倍時代の「保守派の自民党首相」と「中道のブレーキ役としての公明党」はベストカップルだったと思うし、高市早苗ほど極端でなくても、保守色のやや強い後継首相に早くしないと、公明党にとっても悪夢が続くと思う。