労働時間が短く給与が高いトップ3都市に、ルクセンブルク、ミュンヘン、パリが選ばれた。ルクセンブルクの平均月収は4292ドル、平均年間労働時間は1703時間、平均年間有給休暇は32日だ。

東京は全69都市中47位で、労働時間と賃金のバランスがとれた都市とは言いがたい結果だった。ソウルや台北、香港、上海、北京など、アジアの年は全般的に順位が低かった。

労働時間が短く、給与が高い10都市

10位 ロンドン(英国)
9位 オスロ(ノルウェー)
8位 ダブリン(アイルランド)
7位 ローマ(イタリア)
6位 コペンハーゲン(デンマーク)
5位 リヨン(フランス)
4位 ヘルシンキ(フィンランド)
3位 パリ(フランス)
2位 ミュンヘン(ドイツ)
1位 ルクセンブルク(ルクセンブルク)

労働時間が長く、給与が低い10都市

10位 北京(中国)
9位 サンティアゴ・デ・チレ(チリ)
8位 ムンバイ(インド)
7位 イスタンブール(トルコ)
6位 上海(中国)
5位 ナイロビ(ケニア共和国)
4位 メキシコシティ(メキシコ)
3位 ボゴタ(コロンビア)
2位 バンコク(タイ)
1位 ジャカルタ(インドネシア)

ルクセンブルクの平均時給は32ドル、有給休暇は1カ月以上

ランキングはビジネス情報サイト「エキスパート・マーケット 」が、各都市の労働・賃金の公平性を測る目的で、UBS証券とドイツ銀行のデータに基づいて作成した。

ルクセンブルク、パリ、リヨンなど、フランス語を話す都市が、トップ10に3都市も入っている。ルクセンブルクの平均月収はジャカルタの7.8倍、有給休暇は2.7倍だが、年間労働時間はジャカルタの81%しかない。またすべての市民が無料で利用可能な医療システムや、労働者の権利も手厚く保護されている。

労働時間は月142時間とパリやリヨン、コペンハーゲンよりも若干長いが、平均月収は4491.50ドルと飛びぬけて高く、時給計算するとおよそ31.63ドルになる。有給休暇はローマと同じ年間32日、つまり1カ月以上もある。経済的にも時間的にもゆとりのある生活を送りやすい環境を考えると「世界幸福指数」などのランキング上位常連であるのも納得だ。

ワークライフバランスを保ちにくいアジアの都市

東京の平均月収は2897ドルとそれほど低くないのだが、平均年間労働時間は2055時間と長く、有給休暇も17日しかない。

東京より所得が低いにも関わらず順位の高いローマやウィーン、ミラノと比べると、これらの都市の平均労働時間は、1736時間、1678時間、1691時間で、有給休暇は32日、27日、26日。日本よりはるかにワークライフバランスのとれた生活環境のようだ。

アジアのトップ都市は43位のソウルで、月収2698ドル、年間労働時間1934時間、年間有給休暇は15日。香港は53位、台北は57位という結果である。

ワースト5都市の月給は1000ドル以下

ワースト5都市は月給が1000ドルにも満たないが、年間2000時間以上働くのが一般的。有給休暇が22日もらえるナイロビを除き、メキシコは日本と同じ17日、ボゴタは15日、ジャカルタは12日、バンコクはたった9日しかない。

給与が最も高い都市はスイスの2大都市。平均月収が5876ドルのチューリッヒと5817ドルのジュネーブだが、労働時間はそれぞれ1859時間、1912時間でトップ10都市と比べるとはるかに長い。そのため総合順位は23位と15位に。

労働時間が最も短いパリでは年間1604時間働くのが平均的で、リヨンでは1631時間、モスクワでは1647時間だ。なんと東京よりも400時間以上労働時間が短い。モスクワは有給休暇も非常に長いのだが、月給が999ドルと極端に低いため、総合順位は14位。

有給休暇が最も長いのは32日のルクセンブルグとローマ、31日のモスクワとダブリン。

経済大国都市は賃金と労働時間がアンバランス?

ランキングの結果をみる限り、経済大国の大都市は労働環境と私生活の調和がとりにくいという問題に直面しているようだ。

世界一の経済大国である米国からはニューヨークが13位となったが、トップ10入りは逃している。月給は4303ドルとスイス2大都市についで高いのだが、労働時間1847時間と長めであることが原因だ。マイアミは36位、ロサンゼルスは38位、シカゴは41位。

第2の経済大国中国からは北京、上海がワースト10に入っている。第4の経済大国ドイツはミュンヘンが2位のほか、フランクフルトが12位、ベルリンが18位となった。

労働者に寛大な賃金や労働時間、十分な有給休暇を提供している都市は、人々が経済的・精神的に余裕のある生活を送りやすい環境を提供している。従業員や国民のワークライフバランスに本気で取り組むことは、企業にとって、国にとって、計り知れない恩恵をもたらすだろう。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
 

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