一方の日本はどうか。「人に頼らず、職人気質に一人で勝負することが美徳」とされがちだが、ビジネスの実態はむしろ逆である。特に法人営業、出版、広告、メディア業界などでは、「信頼ある担当者との関係性」が取引継続の鍵を握っている。
筆者は独立したばかりの駆け出しの頃、正直コネを軽視していた。「人脈形成などに勤しむ暇があれば一人で努力して仕事をするべきだ」という青い考えがあった。
しかし、その後働いて仕事を得る中で出版社やテレビ局、Webメディアなど多数の取引先と関係を築いてきたが、その多くは「信頼できる編集者」とのやり取りを通じて継続的に仕事を得てきたものである。仮に毎回、初対面の相手に企画書を送っていたとすれば、結果はまったく異なっていたに違いない。
また、自主開催セミナーなどの集客において、筆者は記事やYouTubeでの情報発信による「関係性の蓄積」が効いていると感じる。仮に無名の主催者としていきなりイベントを開いても、間違いなく誰一人来ない。
日頃の発信を通じて信頼を得た上での集客こそが、現代のリアルな集客モデルだ。これも見方を変えた「コネ」であり、日頃の信頼構築があって初めて仕事は成り立つ。
「面倒なしがらみが嫌で起業」みたいな意見をよく見るが、むしろ自分で仕事を取り続けなければいけない独立ほどコネは重要だ。
ビジネスは信用の積み重ね
「GIVE & TAKE」という書籍では、与える人(ギバー)こそが長期的に成功するとされている。コネもまた、他者に価値を提供し続ける中で自然と形成される。「自分にとって得か損か」で動くテイカー(奪う人)では、信頼は得られず、長期的には機会を失う。
コネは実は誰でも作ることができる。その第一歩は、「困っている目の前の相手に価値を提供する」という小さな行動の積み重ねである。
たとえばこのようなビジネス記事を書いて「今度イベントをします」と告知すれば、読者の一部ははるばる会いに来てくれる。しかしただなんでも書けばいいというわけではなく、読者の悩みを解決するような価値を感じてもらえる記事であることが大前提だ。