●この記事のポイント ・日本で登場してから70年以上約90年目たった魚肉ソーセージの売上が、ここへきて伸びている。 ・魚由来のたんぱく質やカルシウム、DHAなどが配合され消費者の健康志向にマッチ。畜肉ソーセージなどと比較して割安な価格。 ・中性脂肪低減効果のある商品や疾病リスク低減トクホの商品も。
日本で登場してから70年以上約90年目たった魚肉ソーセージの売上が、ここへきて伸びている。魚由来のたんぱく質が手軽に摂れ、カルシウム、DHAなどが配合されていることから消費者の健康志向にマッチしているのに加え、ここ数年の物価上昇で畜肉ソーセージなどと比較して割安な価格である点などが受けている。さらに「密かなブーム」の背景を探っていくと、メーカーの地道な努力が垣間見えてくる。メーカーへの取材を交えて追ってみたい。
●目次
健康に良い成分が配合されている商品が注目
魚肉ソーセージの製造・販売を手掛ける大手食品メーカーのマルハニチロ。水産物の調達に強みをもち、缶詰・びん詰・ちくわ・練りものなどを取り扱う同社の主力商品の一つがフィッシュソーセージだ。「うなぎ」や「のどぐろ」など全国各地の魚を原料に使った使ったものなど多彩な味のバリエーションを提供しており、「DHA入りリサーラソーセージ」「おはだのごちそう D-HADA(ディーハダ)」「1秒OPENおさかなソーセージ」など、販売している「フィッシュソーセージ」は常時60種類近くに上る。
同社の魚肉ソーセージ製品の売上高は伸びている。2024年度は前年度比1~2割増加となっており、25年も好調に推移。23年までは毎年、微増微減を繰り返しほぼ横ばい状態だったが、24年度に大きく伸長した。その理由について、マルハニチロは次のように説明する。
「人々の健康意識の高まりから、魚由来のたんぱく質を摂取でき、カルシウムやDHAなどの健康に良い成分が配合されている商品があることが注目されています。物価高の昨今、畜肉ソーセージの価格と比較し、手に入りやすい価格であること、常温で保存でき、ハサミを使わずに手で開けられることから防災備蓄品として注目されていることなども影響していると考えております。軽食にはもちろん、おつまみや料理素材としてなど、幅広い食べ方ができる点、さまざまな魚種由来の中身にこだわった商品が開発されている点もご評価いただいています」