※シーズン内に同じ相手に2度勝つ、または負けること。

サイドの脆弱性と連携不足
現時点で札幌の総失点は「39」となっている。これは、J2リーグで3番目に多い数字だ。これまでの失点を振り返ると、特に、自陣でのミスやドリブルロストからサイドのスペースを突かれたカウンター、またはセットプレーで失点に繋がる場面が目立っている。
守備の建て直しを図るべく、今夏はDF浦上仁騎やDF宮大樹を獲得するなど積極的な補強を敢行した札幌。その結果、この2選手が出場するようになった第19節FC今治戦(2-2)以降、自陣でのパス回しに安定感が生まれたほか、マークの受け渡しなども改善した。
一方で気になるのがサイドハーフ(SH)やウィングバック(WB)に位置する選手のボールロスト後にカウンターを喫する場面である。これまでもサイド選手によるドリブルミスが多くの失点やピンチの起点となってきた。
要因としては、今シーズンから指揮を執っている岩政大樹監督とSHやWBの選手との戦術的な連携のズレが見られる。昨シーズンはMF近藤友喜やFW菅大輝(現サンフレッチェ広島)などがワイドに張り、味方とのコンビネーションやドリブルで崩すシーンが多かったものの、今シーズンは味方選手と流動的なポジショニングを取ることが多く、中央でボールロストをした場合、サイドにスペースが生まれてしまう。
ピンチを招く起点となりやすいSH・WBの選手が他選手と連携を深めて攻撃の質を上げることや、中央に切り込むシーンでは最終ラインやボランチがスペースを埋めるポジショニングを取るなど、サイドのスペースを埋めることが重要なテーマとなってきそうだ。

主力依存と戦術の偏り
昨シーズンは右サイドに張っていた近藤の突破力で局面を打開することが攻撃の特徴のひとつだったが、今シーズンは近藤の良さがことごとく消されている。前述の通り、今シーズンの攻撃では流動的なポジショニングを採用しており、トップの選手がサイドに流れたり、サイドの選手が中央に入るなど、選手たちは柔軟にポジションを変えている。その影響で、近藤も中央寄りの位置でプレーすることが多くなっており、昨シーズンのようにワイドな位置から縦に突破する場面は減少している。