就職してからも「あちゃー」でした。建設会社の特性を十分理解していなかったのです。現場配属初日に現場所長から「現場は技術者がピッチャー。君は事務屋だから現場のキャッチャーになれ」と言われたとき衝撃的ショックで「辞めたる!」と思ったのですがぐっとこらえ数か月。その頃、私の直属の上司が嫌で嫌で書店で「嫌な上司を持った時の本」を買い、留飲を下げていました。
学生なんてバイトぐらいはすれど社会人の世界など垣間見るだけです。ましてやこれだけ世の中が進化してくると自分にどんな才能があり、自分の能力を生かせるところはどんな分野かなどわからないのが当たり前であります。故に就職3年で3割の退職率というのは長年変わらない黄金比率でもある訳です。
私は大学時代とは「経験値を積み上げる4年」だと思うのです。高校までは勉学、特に偏差値などでいかにより上級の大学に入るか、といったほぼ全員が一方向に向いたマラソン競争なのですが、就活はそれこそ、山に入り、トレイルを歩き、分かれ道で「どっちに行く?」と自問自答しながらできるだけ多くの世界をのぞき見をして最終ゴールに到達するものです。ところが今や大学3年生ぐらいで内々定が出てしまうわけで、それは学生にとっても企業にとっても不幸でしかないのです。なぜならその「恋愛予約ゲーム」は1年後、1年半後に一緒になりましょうね、というお約束(予約)でしかなく、一緒になった後、必ずしも相思相愛が続くとは限らないのです。野心がある学生ほど辞める勇気があるのもこれまた事実なのです。
ひと昔前と違い、若者の人材流動化は激しくなっています。つまり企業にとっては20歳代中盤から後半ぐらいの経験者を拾っていった方が双方ウィンウィンの関係になると思うのです。私は以前、日本の就活においてテレビでCMを打つような一流企業や名の知れた企業ほど学生人気が高いけれど、企業が上げ膳据え膳で学生を本社のマーケティング部などに配置するなどのちやほやには否定的意見をしました。そうではなく、まずは子会社、関連会社で3年間修行させる「新入社員全員転籍スタート」でもよいと思うのです。そこからよじ登って親会社に戻って来い、という目標設定の方がわかりやすい気がします。