
(画像=BySudeep m–Own work,CC BY-SA 3.0,Link)
インドの奥地、カルナータカ州。マンゴーの木々と田園風景が広がるこの地に、遠目には粘土でできた家々が並ぶ小さな村のように見える丘がある。しかし、一歩足を踏み入れると、それが人の住む集落ではなく、無数の石の建造物群であることに気づかされる。
ここは「モルヤル・グッダ」、現地の言葉で「小人の丘」と呼ばれる場所。ヒレ・ベンカル遺跡としても知られ、約1000基もの古代の巨石建造物が密集する、世界でも類を見ないミステリアスな場所なのである。
考古学者はこれらの建造物を約2500年前のものと推定しているが、その正確な起源はいまだ謎に包まれている。ヨーロッパのドルメン(支石墓)にも似ているが、石板はより薄く、まるで村のように密集して建てられているのが特徴だ。そして何より奇妙なのは、比較的保存状態の良い「家」に残された、小さな円形の「入り口」。とても大人が通れる大きさではなく、子供か、あるいは非常に小柄な人間でなければ出入りは不可能だろう。

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超人的な力を持つ小人族「モリヤル」の伝説
一体誰が、何のためにこの石の村を築いたのか。その答えのヒントは、この地に古くから伝わる伝説にあるのかもしれない。
地元では、この石の家々は「モリヤル」と呼ばれる、今はもう存在しない小人族によって建てられたと語り継がれている。伝説によれば、彼らは小柄ながらも超人的な怪力を持ち、優れた土木技術を駆使して巨大な石を自在に操ったという。
しかし、ある時、天から「炎の雨」が降り注ぎ、モリヤルたちは滅ぼされてしまったとされる。この伝説について、地元の歴史家は「もし彼らがそれほど小さかったのなら、どうやってこんな巨大な石を持ち上げることができたのか」と首をかしげる。伝説には、どこか矛盾がつきまとうのだ。

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