例えは悪いですが、もしも街中にあるスナックが日本全国チェーンだったらどうしますか?時々ママが変わり、スタッフの入れ替えも激しくて顔も名前も覚えてもらえなければ客はつかないでしょう。「あら、山田さん、1年ぶりじゃないの、いらっしゃい」といわれると覚えてくれていたと思い、顧客は嬉しいのです。一定のファンに圧倒的魅力を感じてもらうことで大企業の商品やサービスと差別化を図っているともいえます。

ただし、そこで勘違いしてはいけないのはスモールビジネスが必ずしも汎用ビジネスにはならないのです。飲食系事業者で時折その勘違いをされる方がいますが、スモールビジネス経営者のクローンはできないのであります。スナックママの良子さんが2号店のスナック良子を開店しても店長が恵子さんだと1号店の良子さんと連関性は浅くなり、水平展開したとは言えないのです。理由はスナックの酒は何処でも同じ味であり違いは誰がサーブするかしかないからです。寿司屋の2軒目を作るのが難しいのは寿司屋は寿司ネタだけではなく、寿司屋のオヤジとの心地よい空間がバリューアップになるのです。これは人間がAIにそこまで感化されていないとも言えるのかもしれません。

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日本人の消費に対するこだわりは世界でも最も高い水準とされます。その中で次のレベルに行くには押し付けではなく、カスタマイズがキーワードになると思っています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年7月28日の記事より転載させていただきました。