つまり価値とは提供されるのを待つのではなく、自らが創造して生み出すことであり、LCCは新幹線の飛行機版のようなものであり、飛行機は移動手段以外の何物でもなく、それ以上の付加価値は自分でカバーすればよいだけの話なのです。

私は最近、自分の事業に関して新規事業を立ち上げて手を広げることよりも手持ち事業の質の向上にシフトしています。多分、私だけではなく、多くの日本企業がそうしていると思います。日経や一般紙を見る限り、このところ企業による新製品の発表が減って来たと思います。新製品のプレスリリースは星の数ほどあるのですが、大きく賑わせる記事は減ってきました。一方で各社血眼になって質の向上を伴う販売促進を図っているように感じます。

私の場合、経営するシェアハウスや外国人向けアパートで新規入居がある場合、特段の配慮をしています。例えば入居前の清掃は私が日本にいる限り清掃をしてくださる方と一緒に共同で磨き上げます。特に床はモップではなく、洗剤と雑巾で蓄積した汚れを取り除きます。また家具や調度品も早めの入れ替えを進め、新しい人が入居後には「居心地はどうですか?」と必ず聞くようにしています。外国人はほぼ何らかの注文を付けてくるので少額で済むものなら購入してあげています。つまり基本のサービスプラス御用聞きをして更にバリューアップを図っています。故に退去した方々から「とても良かった」と高評価を頂いているのは滞在中、一定のアテンションをしてカスタマイズしたサービスをしているからでしょう。これは部屋数が多い大規模な施設ではなかなかできないサービスです。

同じようにカナダのマリーナ事業でもグループホーム事業でもより顧客に寄り添ったサービスを提供することを心がけています。

『なぜ看板のない店に人が集まるのか スモールビジネスという生存戦略』(田中森士著)という本があります。この書ではスモールビジネスのだいご味は客と事業主のダイレクトな結びつきで個性的かつ、細かい客対応ができることが特徴的と記しています。その通りですね。