こんな症状を「甘え」だと思っていませんか? 違います。これは、セロトニンやノルアドレナリンといった脳内物質のバランスが崩れているサイン。いわば「心の風邪」のようなものです。
風邪をひいたとき、「根性で治せ」と言う人はいません。休養を取り、必要なら薬を飲み、体を労わります。心の不調も同じです。休息が必要なときは休み、ストレスの原因から距離を置き、必要なら専門家の助けを借りる。それは甘えではなく、適切な対処法なのです。
自分との新しい付き合い方
特に注意したいのが季節の変わり目です。気温の変化、日照時間の変化、生活リズムの変化。これらは知らず知らずのうちに、私たちの心身にストレスを与えています。
「春なのに気分が晴れない」 「秋になると憂鬱になる」
これらは決して珍しいことではありません。季節性の気分の変化は多くの人が経験するもの。大切なのは、そんな自分を否定せず、受け入れることです。
私たちは、つい「もっとがんばらなければ」と自分を追い込みがちです。でも、脳科学が教えてくれるのは、人間には限界があるということ。そして、その限界は「弱さ」ではなく「仕組み」だということです。
3カ月で一度立ち止まり、小さな成果を確認する。疲れたら休む。調子が悪いときは無理をしない。これは逃げではなく、長く続けるための戦略です。
あなたの「続かない」は、甘えでも怠惰でもありません。それは、脳からの「ちょっと休もう」というメッセージかもしれません。そのメッセージに耳を傾けることから、本当の継続力は生まれるのです。
尾藤 克之(コラムニスト・著述家)
■
22冊目の本を出版しました。
「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)