
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))
スペイン北部、アタプエルカ山脈。ここにあるグラン・ドリーナ遺跡で発見された、たった一つの小さな骨が、人類史の暗部に新たな光を当てている。
それは85万年前に生きた、わずか2~4歳の子供の首の骨。そしてそこには、他の人間によって意図的に首が切断されたことを示す、あまりにも生々しい痕跡が残されていた。これは、私たちの祖先である初期人類が、仲間を“食料”としていたことを物語る衝撃的な証拠だ。
意図的に切断された首の骨
発掘チームが発見したのは、ホモ・アンテセッサーと呼ばれる初期人類の子供の頸椎(首の骨)だ。この骨には、石器によってつけられた、複数の明確な切り傷が確認された。
研究を主導するパルミラ・サラディエ博士は、この発見の並外れた性質を指摘する。
「この切り傷は、単なる偶然の産物ではありません。頭部を切り離すために必要な、解剖学的に正確な位置に加えられています。これは、この子供が狩りの獲物と同じように“処理”されたことを示す、決定的な証拠なのです」
同じ地層からは、他にも10片の人骨が見つかっており、そのいくつかには骨から肉を削ぎ落とした痕跡が残されていた。その扱いは、彼らが食料としていた動物の骨と、何ら変わらなかったという。

(画像=画像は「Archaeology News」より)