若い世代の終活では急な入院に備える準備を!
若い世代のおひとりさま終活に話を戻すと、30代・40代の人々からは「終活を意識しても何から始めたらいいのかわからない」という声をよく聞く。若い世代はまだ死や介護を意識しすぎる必要はないだろう。このため、何をすべきかと問われたら「もし明日、緊急入院することになっても困らないよう備えておいてください」と伝えている。
入院に必要な準備というと、健康保険証・着替え・現金などを思い浮かべる人が多いだろう。それに加えて、身分証明証や服薬中の薬、スマートフォンの充電器も必要だ。その他、職場や家族、パートナーなどに連絡を入れる必要もあるはずだ。一人暮らしでペットを飼っていれば、入院期間中にペットのお世話をしてくれる人も確保しなければならない。このように、緊急連絡先をまとめたりペットのお世話を頼める関係性を人と築いたりすることが若い世代の終活につながると考えられる。
また、必要なものを入院先に届けてもらうことになったとき、どこに何があるのかを誰が見てもわかるようにしておくことも大切だ。あまりにも部屋が散らかっていたり自分でも物のありかを把握していなかったりすると、ものを探し出す作業から始めることになり相手にとっても大きな負担となる。
このように、終活を意識し始めた若い世代は、まず「数日間自宅を離れなければならなくなった場合」を想定し、生活環境や情報の整備に取り組むことが現実的な終活の第一歩となる。自立した生活を送るおひとりさまも、自分が弱ったり困ったりしたときは他人に頼ることが重要だ。自分を助けてくれる人たちとの関係を大切にするためにも、少しずつ終活を始めてみてはいかがだろうか。
(文=藤川ゆきえ/終活ライター)