バナナの皮、コーヒーかす、卵の殻などなど。

これまで捨てられるだけだった食品廃棄物が、キッチンを彩るマグカップやコースターとして生まれ変わる時代がやってきました。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが開発したのは「FOODres.AIプリンター」と呼ばれる新型3Dプリンター。

AIとバイオプラスチック技術を融合させ、日常の食品くずを再資源化するという、まさに“未来の家電”です。

環境問題の切り札になるだけでなく、使って楽しい、見た目もおしゃれという、まさに一石三鳥のこの発明。

その仕組みと可能性に迫ってみましょう。

目次

  • 食品くずをスキャンして、作成可能なオブジェクトを診断
  • 食品廃棄物から日用品へ

食品くずをスキャンして、作成可能なオブジェクトを診断

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Credit: BR – FOODres.AI Printer(2025)

2019年、アメリカだけで発生した食品廃棄物は実に6600万トン。

そのうち約6割が埋め立て処分され、温室効果ガスの発生源となっています。

こうした問題を解決するために開発されたのが、FOODres.AIプリンターです。

このプリンターは、卵の殻やコーヒーかす、バナナの皮、花の茎など、身の回りで日常的に発生する食品くずを「原材料」として活用します。

使い方は非常にシンプル。

まず、スマホにダウンロードした専用アプリで食品くずの写真を撮影すると、AIがその画像を解析して廃棄物の種類を特定します。

すると、アプリがそれに合った「レシピ」を提示してくれます。

レシピといっても食べ物ではなく、マグカップやカトラリー、コースターなど、印刷可能なオブジェクトの設計図です。

つまり、この食品廃棄物から作ることが可能なオブジェクトを提示してくれます。

またユーザーはテンプレートから選ぶことも、自分だけのカスタムデザインを作ることも可能。

さらに廃棄物の種類によって色や質感も変えられるため、仕上がりに個性が出るのも魅力です。