英エセックス大学(University of Essex)による2021年の研究で、子育て好きな父親とそうでない父親では、脳のある領域が異なることが明らかになりました。
報告によると、子どもと過ごす時間が長く、子育てに積極的に関わりたいと答えた父親では、そうでない人に比べ、脳の「視床下部「が大きくなっていたのです。
視床下部は、愛着や愛情に重要な役割を果たすことで知られています。
研究の詳細は2021年10月27日付けで学術誌『Social Neuroscience』に掲載されました。
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- 育児に熱心な父親ほど「視床下部が大きい」
育児に熱心な父親ほど「視床下部が大きい」
研究チームは、50人の父親を被験者とし、脳のスキャンやアンケート調査を実施しました。
アンケートでは、子育てに対する考え方や、子どもとの時間をどれだけ過ごしているか、子育てに積極的に従事したいか、などの質問に回答してもらっています。
その結果、アンケートで高いスコアを記録した男性は、低スコアの人に比べ、視床下部の体積が大きいことが判明したのです。
視床下部は、大脳半球と中脳の間にある間脳に位置する(下図)、アーモンド大の脳領域を指します。

ヒトの脳重量のわずか0.3%ほどの小さな部分ですが、さまざまな神経核からなり、自律神経や体温の調節、摂食、睡眠、ストレス応答など、多くの生理機能にかかわっています。
また、愛着や愛情といった感情活動とも密接なかかわりを持っています。
さらに、脳スキャンの結果、「父親として子育てに従事したい」と考えている男性の方が、子どもとの脳のシンクロ率が高いことも分かりました。
同チームは、今年1月に発表した研究(Child Development, 2021)で、66名の父親(うち50名は本研究にも参加)とその子どもが一緒にパズルに取り組むと、脳活動にシンクロ(同期)が見られることを明らかにしています。
