これを除けば、日本は様々な譲歩を強いられたとは言え、交渉は成功だったと言える。よく考えればこれも不思議な事だ。話し方も、外見も、何から何までとてもトランプ氏から好まれると思われない石破首相、日米交渉に関して首相が参院選街頭演説で「なめるな!」と発言し、中国に領海領空侵犯されてもヘラヘラと遺憾砲を撃つだけの石破政権に対して、トランプ氏が日経株価を跳ね上げる程の好条件で折り合う事は意外過ぎた。
さて、参院選で自公共に惨敗した石破首相は、憲政の常道から言えば退陣必須のはずだが、日米合意を花道ともせずに居座りを続けている。戦後80年談話を残し、絵空事に過ぎない小沢一郎氏の「日米中正(二等辺)三角形論」をも遥かに超えて日中同盟、中国を盟主としたアジア版NATOの父となって歴史に名を刻みたいかのような風情も覗える。
だが、石破首相がその道を進めば、トランプ氏の仕込んだ80兆円投資、米国側90%利益分配のスキームが確定し、日本経済諸共吹き飛ぶ事になるのではないか。
先の参院選で示された民意を踏まえ、筆者は石破路線の逆を行く新政権の至急の登場を望む。

続投の意向を示した石破首相NHKより