前にも書きましたが、現在の日本の有権者の蒙昧ぶりを見るに、社会科教育の失敗がその根底にあると思います。今回の選挙でよりそれを強く感じました。

実はほとんどの国民が中学高校でまともに社会科を勉強していません。

だから、いい歳をした大人が「税金は財源ではない」と平気で信じているし、「国の借金がGDPの2倍に達して危機的な状態にある」ことを知らない人が多いのです。

そのような状態で「ふるさと納税」が行われている異常さに気が付かないのです。

それは入試に出ないからです。入試では英語・国語・数学だけが重要視されます。私たちの世代でいう「現代社会」のように、現代の社会のしくみやそれと自分との関係を考える教科は、ほとんど勉強しません。

日本史も世界史も昔の時代から教えるため、最後の近代から現代は時間が足らず、授業で扱わないことも多い。つまり、自分たちの生活に関係する近代以降の社会の在り方を全く勉強していないのです。しかも暗記が主で、歴史的な教養が身につくような授業はほとんどありません。

本来は近代から現代を教えて、それからメソポタミアや縄文時代に戻るべきです。

ですから、官邸主導で社会科教育の再編成を主導すべきだと思います。

これは官僚や御用学者に任せてよい案件ではありません。

さらに新聞を読まなくなりました。これは、記者クラブに依存して利権にしがみついている新聞が、まともな記事を書けなかったというオウンゴールの結果でもあります。ですが、SNSで自分の関心があったり好きな分野だけを読んでいると、視野が狭くなります。

紙媒体では、自分が関心を持っていなかった分野でも面白い記事を見つけられたりして、視野が広がります。

その意味では、紙の新聞や雑誌を読む習慣を若い時期から身につけておくべきです。

さらに申せば、リテラシー教育の欠如も深刻です。インターネットのない時代ですら「新聞は正しい」のような教育がありましたが、現在ではSNSや動画をそのまま信じることの危険性が、あまり認識されていません。