アンモナイトが覆した「軌道の偏り」
ところが、今回発見されたアンモナイトの軌道は、これまでの3つとは全く異なり、太陽系を挟んでほぼ「正反対」の側を回っていることが判明した。
これまで「第9惑星の重力によるもの」とされてきた軌道の偏りに、当てはまらない天体が見つかった。これは、天体群の軌道が偏って見えたのは単なる偶然で、その先に巨大な惑星など存在しない可能性が高まったことを意味する。
論文の共著者である台湾の研究者は、「アンモナイトの軌道が他の3つと揃っていない事実は、第9惑星仮説の可能性を低下させる」と指摘する。そして、「かつて太陽系に惑星が存在したが、後に弾き出され、その結果として今日見られるような奇妙な軌道が生まれたのかもしれない」という、別の可能性にも言及している。

(画像=画像は「Live Science」より)
謎の結末は数年以内に?
他の天文学者からも、今回の発見が仮説を弱めるものだとの声が上がっている。そもそも第9惑星の証拠とされる軌道の偏りは、科学的に盤石なものではなかったという意見もある。
長年、天文学者を惹きつけてきた第9惑星探しの物語は、終わりを迎えるのだろうか。いや、まだ希望は残っている。チリに新設された超高性能な「ヴェラ・C・ルービン天文台」が本格稼働を始めたからだ。
「もし第9惑星が本当に存在するなら、数年以内にその観測データから発見されることはほぼ間違いないでしょう」と、ある天文学者は期待を寄せる。太陽系の最後の謎をめぐる論争に、決着がつく日はそう遠くないのかもしれない。
参考:Live Science、ほか
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