二重価格制は海外では珍しくない
そのほかに異例とされるのが、二重価格を導入している点だ。チケット料金(12歳以上)は国内在住者は6930円、国外在住者は8800円と異なる価格が設定されている。その理由について運営元は次のように説明する。
「二重価格制については海外での観光施設では見られることですが、さまざまな議論を呼ぶ可能性は認識していました。市場調査、需要予測を行ったうえで、弊社が提供する体験価値に基づいて価格設定を試みました。世界的に見ると、たとえば、米国カリフォルニアのディズニーランドは、為替変動もありますが1万9000円前後。香港ディズニーランドは1万6000円前後であります。国内的には、多くの方が思っている価格よりも高い価格設定かもしれませんが、記者会見後、国際的にはリゾートとしては割安という声をいただくこともあります。我々も海外のお客様に満足いただけるように、言語対応プラスアルファで、体験価値をしっかり作りこんでいきます。国内在住者に対しては日本、沖縄の持つ観光の価値、ジャングリアの体験価値を認知していただく。積極的に体験し、発信もしていただきたいという考えもあってより利用しやすい、体験しやすい価格に設定させていただきました」(ジャパンエンターテイメント/3月4日付当サイト記事より)
全く新しいカテゴリーのテーマパーク
将来的には年間来場者数300万人を見込むジャングリア沖縄の成長性について、テーマパーク経営に詳しい桜美林大学教授の山口有次氏はいう。
「ディズニーリゾートやUSJのような大規模テーマパークと自然公園を組み合わせた、これまで日本にはなかった全く新しいカテゴリーのテーマパークといえます。樹木や植栽がふんだんに使われ、“箱型”のアトラクションは少なく、ゲストが体を動かして楽しむアクティビティ型のアトラクションがメインである点も特徴です。これによって事業費を低く抑えられるので、進出先の国・地域によって違った形態のテーマパークにローカライズしていく必要はあるものの、モデルとして輸出しやすい面はあるかもしれません」
課題もあるという。
「テーマパークに限らずレジャー施設というのは、何度も訪問する客をいかに獲得できるのかがカギとなってきますが、ジャングリア沖縄がそのようなリピーターを確保できるのか。また、テーマパークはいかに地元の住民に支持されるのかが、その成否を大きく左右しますが、ジャングリア沖縄は現段階では地元のニーズと乖離しており、地元住民の吸引を想定していないようにみえるので、その点が課題になってくるかもしれません」(山口氏)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=山口有次/桜美林大学教授)