●この記事のポイント ・沖縄に開業した「ジャングリア沖縄」、東京ディズニーランドを上回る敷地面積ながら、総事業費はUSJの半額以下 ・運営元はジャングリア沖縄で成功させたミドルクラスのテーマパーク・モデルを、アジアや中東に輸出していく計画 ・これまで日本にはなかった全く新しいカテゴリーのテーマパーク
昨日(7月25日)、沖縄の大型テーマパーク「ジャングリア沖縄」が開業した。前日に盛大に行われた「前夜祭」の様子は多くのメディアで取り上げられ、世間の関心の高さがうかがえる。沖縄県北部の名護市と今帰仁村にまたがるかたちで、東京ディズニーランドを上回る約60万平方メートルの敷地面積を擁するが、総事業費が700億円と1000億円以下に抑えられ、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の開業時の半額以下となっている点も注目されている。運営元はジャングリア沖縄で成功させたミドルクラスのテーマパーク・モデルを、アジアや中東に輸出して事業拡大につなげる計画だ。東京ディズニーリゾートやUSJなどの「都市型テーマパーク」とは一線を画した「自然共生型テーマパーク」、国内居住者と海外居住者で価格を分ける二重価格など、珍しい取り組みを行うジャングリア沖縄は、果たして成功を収めることができるのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。
●目次
総事業費1000億円のテーマパークはアジア圏で開発のハードルが低い
国内での大型テーマパークの開業は、2022年に愛知県に開業した「ジブリパーク」以来、3年ぶり。22のアトラクションやショー、レストラン、ショップなどを擁し、目玉アトラクションである「ダイナソーサファリ」やジップライン、バンジージャンプに象徴されるとおり、大自然との一体化が志向されており、その点は東京ディズニーリゾートやUSJなどと大きく異なる。両テーマパークとの違いとしては、現時点では隣接するホテルなどの宿泊施設がなく、提携のホテルまで車で30分程度かかる点がネックとされる。
運営元のジャパンエンターテイメントは2018年に設立され、開業に向けて7年もの歳月をかけて準備を進めてきたが、その筆頭株主でテーマパークの企画を担うのが刀だ。刀の代表取締役CEOであり、USJ復活の立役者として知られている有名マーケター・森岡毅氏が企画を指揮。1月に開かれたジャングリア沖縄の記者会見には石破茂首相も出席するなど、国からも大きな期待を寄せられている様子がうかがえる。
ゴルフ場跡地である広大な敷地の形状を活かすことで、総事業費を約700億円に抑えた。沖縄本島北部は、観光客が多い那覇市を含む中南部からは離れているが、非都市型で総事業費1000億円のテーマパークはアジア圏で開発のハードルが低いとみて、運営元はジャングリア沖縄で確立した成功モデルをアジアなどに輸出する構想を抱いている。
「もともとゴルフ場だったところをテーマパークに生まれ変わらせる跡地の活用はジャングリア沖縄だけではなく、海外へ展開できるビジネスのチャンスを視野に入れています。まずは今回のパークを成功させる(第1フェーズ)、ゴルフ場跡地全体の敷地面積は120haで、今回はそのうちの60haを活用しており、次は残りの半分を活用する(第2フェーズ)。第3フェーズとしての海外展開を視野に入れている。そこからも逆算して価格設定をしています。体験価値に応じての価格設定です。今後投資をどんどんしていきます。現在活用する60haの土地にもフューチャーエリアといわれる新しく建設できるエリアを設けています。残りの60haもパーク自体を活用するという案もあり、体験価値に応じて価格が変動する可能性はあります」(ジャパンエンターテイメント/3月4日付当サイト記事より)