●この記事のポイント ・国内で月間ユーザー3300万人超を誇るTikTokが「TikTok Shop」を開始 ・既存アプリにEC機能を追加し、ユーザーはショート動画やライブ配信のなかで紹介された商品をアプリ上で購入 ・新しい購買体験「ディスカバリーEコマース」、自分に合った魅力的なコンテンツをTikTok上で発見し、購入できるサービス

 国内で月間ユーザー3300万人超を誇るTikTokが、6月30日、インターネット通販「TikTok Shop」を開始した。既存アプリにEC機能を追加し、ユーザーはショート動画やライブ配信のなかで紹介された商品をアプリ上で購入できる。日本では大手企業がライブコマースに注力するも普及はこれからといえる状況のなか、TikTok Shopは「単なるライブコマースではない『ディスカバリーEコマース』」だと説明する。Amazon.co.jpや楽天市場をはじめ大手ECがひしめくなか、TikTok Shopはどのような成長戦略を描いているのか。TikTok Shop Japanに取材した。

●目次

ディスカバリーEコマースとは

 日本市場で「TikTok Shop」を開始する背景・理由について、TikTok Shop Japanは次のようにいう。

「日本では、毎月3300万人を超えるユーザーの皆さんがTikTokを訪れて、お気に入りのクリエイターが発信するコンテンツからエンターテインメント動画、そして役立つコンテンツまで、幅広い動画を楽しんでいます。また、特に2021年以降、『TikTok売れ』のようにコミュニティ主導のトレンドを通じて、人々は自分のお気に入りの商品を発見し、共有することが主流になっています。TikTokでは、こうした流れの中で、さまざまなブランドやビジネスがコミュニティとつながることで成功を収めています。この強力なコミュニティに、現在のEC業界の成長も加わることで、さらなる可能性が広がっていくと考えています。

 他の地域で多くの成功事例を収めているTikTok Shopですが、このたびの日本市場への展開はグローバルで17市場目となります。2024年12月以降では8市場目の導入となります。私たちは常にユーザーの皆さまのニーズを起点に検討・行動しています。また、ユーザーの皆さまからの声を聞きながら、各市場に合わせたサービスを展開できるよう努めています。ユーザーの皆さまに『創造性を刺激し、喜びをもたらす』ことで、TikTokの強みを生かしたTikTok Shopならではの『ディスカバリーEコマース』という新しい購買体験を届けられるよう、さまざまな機能のテストやチャレンジを続けています。

 具体的にどのような特徴を持つECなのか。

「TikTok Shopは、自分に合った魅力的なコンテンツをTikTok上で発見し、購入できるサービスです。ショッピング動画やLIVE配信を通じてユーザーはお気に入りのアイテムに出会い、その場で購入が可能となる新しい購買体験を『ディスカバリーEコマース』と位置づけています」

 既存のECとは、どのような点が違うのか。

「TikTok Shopは、発見を起点とした『ディスカバリーEコマース』を提供しています。これが大きな特長となります。現在、EC業界は成長を続けていますが、まだまだオフラインにおける購入の力のほうが強いと考えています。その中で、従来のECプラットフォームと根本的に異なるのは、TikTok ShopがEコマースのプラットフォームである以前に、コンテンツプラットフォームである点です。ユーザーはあくまでもコンテンツを楽しみながら、自分が気になるアイテムと出会う。企業やクリエイター側から見ると、あくまで1つのコンテンツとして、その商品の特徴を説明する表現形式をとる。そのマインドセットが違うと考えています。

『自分はこれがほしいけれど、何と検索すればいいのかわからない』という消費者もいます。また、検索してもたくさんの検索結果が出ますので、売る側は消費者に出会ってもらえないこともあります。TikTok Shopでは、コンテンツの力を通じて多くの人に気に入ってもらえれば、『いいね』『コメント』『シェア』などの複合的なリアクション要素が考慮され、より多くのユーザーにそのコンテンツがおすすめされることとなり、フォロワー数や広告配信に依存せずとも、多くの消費者に発見してもらえる可能性を秘めています。そこで、当社は価値提供ができると考えています。

 また、ユーザーからの視点では、『おすすめフィード』におけるコンテンツを見る体験は、まるで自分専用の商店街やショッピングモールを歩いているようなものだといえます。自分にぴったりの商品が次々と見つかり、それぞれの分野に詳しいクリエイターたちが、その魅力や使い方をわかりやすく伝えてくれます。自分から探しに行かずとも、『本当に欲しいもの』と出会える体験です」