都でなくなった京都を救ったのは琵琶湖疏水で、京都市民の水の93%を供給している。よく「京都の女性は鴨川の水で育ったから肌がきれいだ」とか言われるが、京都市の水道に鴨川の水は使われていない。京美人は実は琵琶湖美人なのである。
京都の文化も市民の健康も琵琶湖疏水あってのことだ。南禅寺界隈の名園の数々は疏水の水を利用して英国風を採り入れた自然と融合した近代庭園を造ろうとして生まれたものである。京都の地下水では水を生かした庭園などつくれないから、枯山水などで誤魔化していたのだ。
水の問題では水源地を中国人が買い占めているとか言う人もいるし、水道民営化について「命の水はやはり公営にすべきだ」とか言っている政党もある。しかし、大事なのは最新の技術で長期的な観点に立って管理運営してくれることである。
しばしば、自治体の水道局は技術が低いし、値上げしにくいので施設の劣化が進んでおり、公営であるメリットは理解できない。

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